技法グラウンド

 「技法グラウンド」はコーチが英文を1回言ったら、生徒が同じ文を5回(以上)繰り返すことです。素読舎の「スカイプでレッスン」では絶えずこの練習が行われます。

 生徒が英文を読む音が間違っていた場合、たまたま言い間違えただけなのか、それとも間違って読んでいるのか、1度読むだけではわかりません。たまたま間違えただけなら、生徒はそれ以後、間違わないで言えますが、2度3度続けて間違える場合は、間違って読んでいるとわかります。どちらであるかは、5回くらい読まないと見極めがつきません。これが、「5回(以上)」の繰り返しを行うことのコーチ側からの根拠です。

 生徒が間違えて読んでいた場合、「音の出し方」を手短に説明し、再び生徒が「同じ文を5回(以上)繰り返す」ことでレッスンが進んでいきます。

 一度に「5回(以上)」の繰り返しは、教材自体が備えている「波状的復習」により、繰り返しの回数が蓄積されていきます。國弘正雄氏の言う「五百回」「千回」という回数が自然に獲得されます。日本在住のままで、文全体の意味を机上で一瞬にスパークさせるためには、ごく当然の回数です。これが生徒側における「技法グラウンド」の繰り返しの根拠です。

 「技法グラウンド」は、コーチ付きの練習、つまりレッスン用の方法です。
 「技法グラウンド」は「回転読み」への導入になります。
 生徒が「回転読み」で一人で練習するための核となる部分を作ります。

 「回転読み」は、生徒の独学(自習)用の方法です。
 「技法グラウンド」で得た繰り返し法を激化すれば、「回転読み」になります。

 「回転読み」について、以下に、小学館文庫「英語どんでんがえしのやっつけ方」(根石吉久・村田晴彦共著)から引用します。これは、完全な自習用として書かれたものです。


 一つの文章の全体を、ゆっくり自分に言い聞かせるような気持ちで、何回も何回も音読します。必ずはっきりと声に出して練習してください。
 ていねいに、ゆっくり、繰り返し繰り返し自分に言い聞かせていると、やがて自分の中に自然に「音のつながりの型」が触知できるような感覚が生まれてきます。その「型」が自覚できたら、わずかにスピードを速めます。
 「型」が壊れないように、(言い間違えたり、とぎれたりしないように)、よく気持ちを集中して、ごくわずかずつスピードを速めていきます。
 これは、駅に停車していた列車が動きだし、わずかずつ加速をつけていくのに似ています。わずかずつ、わずかずつスピードをあげていきます。
 (略)
 This is a pen.
 という文を、最初は「ジス イズ ア ペン」と読み、繰り返し、何度も自分に言い聞かせるようにします。このときに、ていねいにしっかりと自分に言い聞かせてください。「音のつながりの型」が触知できるように感じられたら、そのあとは、「ジスイズアペン ジスイズアペン ジスイズアペン」と、一回言うごとに切れるように言うのではなく、「ジスイズアペンジスイズアペンジスイズアペンジスイズアペンジスイズアペン………」という具合に、文章のしっぽと頭をくっつけてしまうのです。
 (略)
 動き出した列車の車輪が一回転するごとに小休止したら、乗っている人はぎくしゃくします。英語の例文暗記でも、ぎくしゃくしていてはよく覚えられません。覚えてもすぐに忘れてしまいます。なめらかに回転させて、しかもはっきりと言い続けることがコツです。
 (略)
 「ジスイズアペンジスイズアペンジスイズアペンジスイズアペンジスイズアペン………」というように、はっきり言いながら、しかもなめらかに回転させて、しばらくは一定の速度を保持します。「音の型」がさらに安定してきますから、それに応じてごくわずかずつ再びスピードを速めていきます。列車がしだいにスピードを増し、ついに最高速度で走るようになるのと同じように、英文を「回転読み」で読みながら、わずかずつスピードをあげ、最後は自分の限界まで速くしてしまいます。慣れると、一息でかなりの数の回転ができるようになります。
 強く、はっきりと、正確に、一息で何回も回転させながら、なめらかに最高速度で言えていれば、「回転読み」の完成です。実力が備わってくるにしたがって、この「回転読み」の最中に、文の全体の意味が、くっきりと意識に浮かび上がってくるようになりますが、最初は、意味がとれなければとれないままでも大丈夫です。その場合でも、音だけはしっかり完成させるようにして下さい。


 (「回転読み」については、掲示板大「風呂敷」で長く議論が行われました。まだ整理されていませんが、過去ログに議論が記録されています。)

 生徒の読みにバネが備わってきましたら、レッスンで「技法グラウンド」、レッスン後の「回転読み」、再びレッスンで「技法グラウンド」、というように、生徒は「技法グラウンド」と「回転読み」の往復をします。

 「技法グラウンド」を激化させ、「回転読み」を始めるべき時期については、レッスンでアドバイスしています。いきなり「回転読み」をやり失敗する人がいます。レッスンは、「回転読み」を失敗に終わらせるのを防ぐために有効です。

 素読舎のレッスンが、学校や塾や予備校の授業とはっきり違う点は、生徒の「繰り返し」そのものにつきあい、繰り返しの回数を蓄積し、読み全体を熟成させるところにあります。